
朝起きると、外はびしょ濡れで、意気消沈といった感じだった。 「藤田君に中止の連絡、しなくていいの?」と言う妻の言葉に一瞬考えてしまったが、時刻は、集合時間の30分程前で、藤田は多分家を出た後だろうと思い連絡は諦めた。 急いでPCで降水量を調べると韮崎で2mmとあった。今考えると見間違えかもしれないが?それで結構絶望してしまった。 4〜5分遅れ、待ち合わせ場所につき、天気の話をすると、藤田は買ったばかりのiPhoneでいろいろ調べ、「多分大丈夫だろう」という。気を使っている気もするが、駄目だとしても、今日は他に行く場所もないし、少しでもチャンスがあるのなら太刀岡に行ってチャレンジしたいと思い、それ以上は会話もなく岩場に向かった。 途中、上野原付近で山間に霧が立ち込め、僕の絶望感をあおったが、笹子トンネルを抜けると甲府盆地が明るく照らされ、道路がカラカラに乾いていた。 心の底で神様に感謝したが、思ったままを口に出し、岩場で裏切られるのがいやなので、「なんか状態良さそうだね」とだけ言った気がする。 岩場につくと、駐車場は工事が始まる寸前で、停められても1〜2台といったところだった。早くについたことに感謝し、山に入る。 普通山はこの時期、まだ土が水分を離さず、黒々しているはずなのだが、この周辺はパサつきカラカラに乾いていた。本当にいい状態だった。風も冷え込も強くなっていたからだろう。 アップが終了し、1便目で本気トライをしようかと思ったが、藤田に「1便目は必ず手が張るから、探る程度がいい」と言えわれ、正される。 「確かに!」と同感し、ここは成功法で行こうと思いなおし、2便目で本気トライすることにした。 前回、藤田はすでにRPしていることから、もうこれ以上時間をかけることは許されない気がしていたし、付き合ってもらうのはこれ一回にしたいと思っていた。 それに、スポートルートでの自分を追い込むプロセスは、把握しているつもりだったので、この数日はそれなりに過ごし、集中していた。 前日はアルコールを抜き、頭の中で何度も登り、登攀トポをも描いてみる。登る前はシューズを選び温め、軽く歩き体を温め、再度オブザベして、スタートする。そんなことをするのは本当に久々だった。
最終的にRP出来、本当にうれしかった。 しかし、それ以上にこういったプロセスを踏まえ、チャレンジするルートも久々だったので、とても楽しかった。そして、本当によくサポートし、アドバイスをくれた藤田君には感謝感謝だ。 このルートは、4〜5年前に3日(多分5便)触り、今年の春に2日触った事のあるラインだが、今回は5日目でRP出来た。それは一重に藤田君がビレーヤーだったからだろうと思う。 彼と登る13Aはこれで3本目だ。その写真も3枚目。また良い思い出となった。 |