Grimperときどき脂鰭そして流されて

Master of Stoneに憧れつつも、パートナーのいない日はTrout Fishingに出かけてしまう日々の記録
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...... 2011年09月01日 の日記 ......
■ 岩魚釣り   [ NO. 2011090101-1 ]

 8月20日の釣行を回想する。
 翌日(20日)の天気は大雨の予報だったが、後輩からの釣りの誘いを受けた。
 「明日は天気的に厳しいだろう」と正そうと思ったが、彼の方が経験は豊富だし、その場所の様子をリアルに想像できない私にとって、取り合えず行って判断するしかなかった。
 彼のいつものやり方で、目的地に向かったが、アプローチ方法はかなり考えていて、他の人の3分の1程の時間で目的地付近に到着した。
 雨は降っていたが、山の木々の下に入ると直接雨が当たらない。沢もかなり上流のためそんなに増水はしていなかった。
 釣りの準備をして、入渓する時、彼の出で立ちはまるで自衛隊員の様な準備万端ぶりだった。艶消しブラックのヘルメットを被り、服装は黒のゴアをアウターとし、ズボンは乗馬用の毛のニッカだった。
 後輩の彼が「ここからはポイントですから、大きいのが出ると思います」と言ったところは、スカイラインが、間近に広がる源頭部で、一見大物がいる様には見えなかった。
 そういった場所での彼の行動は、注意を払い進み、魚から気付かれないように岩陰で竿をライフルの様に構え、薮の間を縫ってゆっくり手元から伸びていくといったものだった。
 そして餌が沢に入ると、彼が居ると思ったところには、魚が湧くがごとく、尺前後の大物が出てきた。
 僕は、彼の渓流本格岩魚釣りの極意というやつを盗みたくて、その後方5m程のところを、一日ついて見ていた。
 今までの釣りのスタイル、考え方とはまるで違い、岩魚の生体について新たに学んだ事が多くあった。
 結果的に僕は3匹(内2匹はかなり小さいため実質1匹だった。)、彼は20匹程釣っていたが、その大半はリリースしていた。彼が魚篭に仕舞うのは、8〜9寸以上の魚ばかりだったため、結果的に5匹だった。ちなみにこれは、途中まで先行者があっての釣果である。

 いつも僕が行く所は、もっと下流ではあるが、雨が降っている時に余裕で釣りが出来るほど遡行路も良くはないし、ゴルジュの通過は極めて難しくなる。もう少し歳をとれば絶対に一人ではいけないであろうと思ってのに、その場所は違った。
 まして狭い渓流部はふつう、一気に水量を増したり、小さな鉄砲水があったり、山肌の土が入りすぐにコーヒー色になり釣りどころではなくなるはずなのだが、その谷はそういった場所とは一線を画す、と云った感じだった。
 魚影も最上流部にしては濃い感じがした。

 
 では、今回の谷とは何が違うのか?
 僕が、一番強く感じたのは山肌の地層と水の違いだった。
 東京近辺の低山は、大抵黒土(腐葉土)又は赤黒い粘土層やローム層に近いものだが、その谷の沢周辺は一見チャートの様に見える礫層であった。そのため雨が降ってもすぐに谷に流れ込むような事はなく、下に吸い込まれ、水を汚す確率も少ない。その為、斜度が大きい割に流れがゆるやかで、水の溜まった淵の様な所にのみ、生物の生態系が集まっている様に感じられた。程度に倒木もあり、そういった場所でも流れを複雑にしている。

 本州以南の岩魚属が降海する事はないが、それは単に生態なのか?それとも陸封の歴史があったからなのか?
 陸封の歴史が先だとすると、(関東でいうなら)富士や箱根の噴火の影響でローム層が大きく形成されたのは新しくは10万年から1万年ほど前の様だし、氷河期も1万年ほど前の様だ。
 その時期すでに、地層が安定し又はそれが硬く締まり泥岩化してたり、礫層と変化していれば…。又は、東側の狭い沢で、西側からの火山灰の影響が少なければ、そういったところに岩魚が集まり、その場所にあった生態を身に付けて行ったのではないかと想像してしまう。
 これを釣る側に置き換えたなら、そういった場所を検索すると、まだ人の入っていない、岩魚沢があるのではないだろうかと夢を見てしまう。そしてその生息域は、水温以外にも地層などによる水質や、沢の形状による動水圧などの多くが関係している様な気がしてくる。

 本流であってもやはり、大岩魚が出ている所はそういった条件に当てはまっている様に感じられる。
 次回行く時は是非、もう少し勉強して、敵の事を知って釣果を上げてみたい。


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