
「千波」とは良く言ったものだ。 僕が、久々に嘗て務めていたエリアに行って、釣りをしようと思い、道を歩いていると、町人の数人は僕を覚えていて、車を停め色々声をかけてくれる。その度に話に出てくる場所が、「千波」だ。 その土地で生活し、子供の時から川で遊び、慣れ親しんでいないと、河川に着けられている細かな名前など、知る由もないだろう。しかし、地元育ちでは無い僕でも、一度見れば、その名を納得するほどの急峻な流に、大岩が2つ立ちはだかり、正に千の波状態の場所である。 そこは、まさに険しく、深く強い流れであり、見ために神々しくも、おどろおどろしくもある。 嘗てここで1匹も釣れなかった事は、…多分ないだろう!トラウトが生活するにはもってこいの地形なのか?魚が居なくなることの無い、素晴らしエリアだ。 「今日はここから、釣りあがってみよう!」そう思い、竿を出したがなかなか掛らず、30分粘った。そして、やっと釣れたのは、サクラを思わせるほどの大物山女だった。 ビックリし、よく見ると、魚体のカラーも航海型で、これから大きくなるキャパシティーを思わせる程ピンクに染まっていた。その割には小さく痩せている気もする。 その後、僕はこれを皮きりに、ヒットを連続し、夜勤明けで、数時間のチャレンジにしては、大漁の釣果で良い一日となった。 |