このエリアで、4本のラインが初登された。グレードは5.9・5.10c・5.11bc・5.12の4本だ。概ね、この小さなエリアでは、素直な良いラインは初登攀出来たのではないだろうか?今日U2により初登された5.11bcのラインは、一番のお勧めのラインとなるだろう。 一見、大きく謙虚な岩の弱点であるクラック(謙虚な大きい地層)を左上したに過ぎないが、見た目と違い、被りが強く、実際登るとそれはまさにクラックラインそのものであり、途中チムニー状となるそのムーブは、まさに「マリオネット」の様だった。ハンド、フィンガー、フットジャム、チムニー。 こんなクライミングが家の直ぐそばで出来ることが驚きだ。まるで城ヶ崎の様だった。 「僕らは、ここが自然に帰るまで、間借りし遊ばせてもらっている。」そんな気がしている。 登山道入り口には、バイオトイレが設置され、岩場の脇には伏流水が湧き出し、すぐ脇の滝坪には渓流魚が泳いでいる。たまに頭上に登山者が通り、手を振っている。「ここで暮らせそうだよね」という会話になるのは必然な程、素晴らしく、変わった場所だ。小さなLost Worldといったところだろう。 しかし、ここはいつ自然に帰ってもおかしくない。いつ滝坪に戻ってもおかしくない場所なのだろう。 「僕らは、この場所が、元の状態に戻るまでの間、間借りし遊ばせてもらっているのだ。」 だから、という訳でもないが、ここにはボルトは打たないでほしい。そんな思いが頭をよぎる。 こんな場所では、ボルトは可能性を広げるかもしれないが、無用の長物だろうと、…ここに来る度、僕らはそんな話をする。 |