急峻な登山道を1時間半は歩いただろうか、概ね40m強の氷瀑が目の前に現れた。嘗て登った中で一番大きな南沢の大滝よりも、ふたまわりほど大きい。PatagoniaのHPに出てきそうな景色だ。 弱点をついて登ってもX級が付いている、これだけ氷筍が発達していると、プロテクションの位置にも頭を使い、うまくバランスをとれないとスクリューを入れる事も儘ならない。U2は、僕にリードを任せてくれたが、普段のっぺりした、氷のリードしかした事が無いため、僕は右手にカジタのセミチューブを持ってスタートしてしまった。 普段リードの時は、信頼のある初期のシャルレクオークを左に持ち、セミチューブを右に持つ、そしてスクリューを右手で入れる事にしていたのだが、上部ライン右には、立体的な氷筍の集合体があり、左は絶った氷壁状となっていた。 こういった場合、左手でPを作れば済む事だが、右手のセミチューブは氷筍に上手く効かず、リューシュも手袋もそれぞれ左右の作業に合わせ変えてしまっていたため、反応出来なくなってしまった。 頑張って、胸元に信頼できる1本を入れ、力尽き敗退となった。その後、畦ちゃんとU2で上まで抜けTPとして練習することが出来た。 畦ちゃんは、多分トップアウト出来ただろうが、Pの数が足らなくなり、敗退となった。 その後、U2が下部のPを間引きし、上部で活用し、トップアウトした。U2は来る度上手くなって行く気がして、素晴らしく頼もしい。
帰りも暗い中、土地勘のない山域で迷ってしまい、自分にとってなかなかいい勉強になった。 昔は、沢に入れば迷うのが当然だったのに、気持がどんどんマイナスに傾くのを久々に感じた。 「もしかしてビバークか」と頭をよぎったが、U2も畦ちゃんも流石に冷静で、無事駐車場に戻ることが出来た。 帰路途上、大雪で真っ白な高速道路を、運転しつつ、内心自分のロートル振りを深く反省していた。 追記;プロテクションは、今日は10本しか無かったが、13から15本くらい欲しいところだ。 |