ソニー・トロッターのプロスセテックス13dをフリーソロに限りなく近い、オールナチュプロのRPは何度見ても衝撃的だが、僕には到底真似の出来ない事だ。 ベストなスタイルで登った時、それを進化ととらえ、ボルトを外し紙面で争点となった事も過去にあったが、この映像を見ていると多くの事を考えさせられる。 僕も、数十年経過してしまった、他人のラインを初攀したことがある。それは岩場自体の再開拓であり、掃除、了解を得て、RPとなった。 そのラインでRPの際、2本のボルトを使用せずRPとなったのだが、抜くべきか否か迷った。 時代背景を考えた時、そのボルトは明らかに高級品で、当時の開拓者の情熱が伝わってくるものだった。 結局僕は、そのままの形で残した。そして、当時の開拓者が、この壁を見てじっとして居られなくなり、ボルトを打ち、一生懸命チャレンジしていた姿を想像し、どんなクライマーの中にも燻る、遺伝的なチャレンジ精神を感じ「climber’s genom」と命名して完結させた。
僕は、いろんな意味でソニーのこのチャレンジは意味のあることだと感じている。彼の様に結果が伴う行動が出来るクライマーは意外と少なく、このチャレンジの意味さえ理解できないクライマーもいるのだろう。 僕は僕なりに、スポートであろうとトラッドであろうと、自分の目と感覚を信じ、本質的に上手くなって行きたい(もう、上達する年でもないんだが、まだまだその途上にいると信じ)、そういった気持は忘れない様にしたい。
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